本音を言えば介護なんてしたくない

多くの人が直面する介護問題。率先して介護を買って出る人もいれば、「介護なんて絶対したくない!」と本音を隠している人も多いはず。

介護保険制度の崩壊が囁かれる中、収入のある世代が介護に携わることができず、収入源のない若い世代(学生)が介護要員に駆り出されるヤングケアラーといった言葉も耳にするようになりました。

そして団塊の世代が後期高齢者になっており、「老老介護」や「認認介護」など、介護者自身も高齢化していく現代の介護問題は綺麗事だけで片付けられなくなってきました。

当サイト「在宅介護の押し付け合い」では、要介護者に対して介護者が複数いた場合に生じる介護の押し付け合いをテーマに、多くの介護サイトや参考書(介護本)がひた隠しにする介護者のデメリット(将来のリスク)と綺麗事では済まされない在宅介護の現実や、新たな介護問題により発生する可能性がある親戚間のトラブルを取り上げています。

在宅介護になってしまう理由

「施設から在宅で」と、在宅主義に施策誘導する国策の影響もあり、施設に行きたいのに家にいるしかない高齢者が増えています。
その他にも、介護費用の自己負担割合が増えてきたことによるお金の問題(介護費負担の問題)や、高齢者のワガママなど、要介護者を施設に預ける事が出来ないのには色々と理由があるようです。

要介護者が自宅での介護を希望する

長年慣れ親しんだ我が家を離れる事への強い抵抗と知らない人から介護される不安により、自宅での介護になってしまうケース。
限界集落に子供を呼び寄せて介護するケースもこれにあたります。

予算内で入れる介護施設などを要介護者に拒絶された

予算内で入れる介護施設があったとしても、要介護者自身の希望が満たされる施設でないため入居を拒まれるなど、要介護者のワガママが原因で自宅介護の選択肢を選ばざるを得ないケース。
特別養護老人ホーム(特養)などの公的な施設が不足している為、多くの場合、民間の有料老人ホームを探すしかないのですが、親の年金だけでは施設に入ることが難しく、介護に対して消極的な家族が在宅介護せざるを得なくなってしまう原因になりやすいケースでもあります。

介護者や要介護者に貯金がなく金銭的に余裕がない

介護者と要介護者ともに介護が必要になるとは想定しておらず、十分にお金の準備が出来ていなかった為、両者が介護施設への入居を希望していたとしても自宅での介護を余儀なくされてしまうケース。
介護離職介護破産に発展してしまう、負のスパイラルを起こしやすい大変危険なケースでもあります。

介護の押し付け合いになる理由

民法の第730条に「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」、第877条に「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」とあるように、要介護者になった親や義理の親、身寄りのない親戚、兄弟、姉妹の介護は避けて通れない義務なのです。
要介護者に対して介護者が一人しかいなかった場合、どんなに嫌でも介護せざるをえない状況になりますが、兄弟や姉妹などの扶養義務者が複数いると、最悪の場合、介護の押し付け合いに発展してしまいます。
特に「介護の担当」「お金の担当」など、兄弟姉妹や夫婦間で役割分担を決めてしまうような在宅介護は、それぞれの負担内容に格差が生まれ必ずトラブルになります。
デイサービスやヘルパーは一時的な穴埋めに過ぎず、主介護者の負担が極端に軽減されるわけではありませんので「介護の担当」からは「お金の担当」の方が楽そうに思えてきます。
また「お金の担当」からは「介護の担当」の方が金銭的負担が軽く見えてしまい、お互いに誤解し合ってもめてしまうのです。

扶養義務のある親族が複数いる

介護の押し付け合いになる一番の理由が、押し付け合える人が存在するということです。
兄弟、姉妹、夫婦など、要介護者に対して介護すべき人が二人以上いる場合は押し付け合いになる可能性が非常に高いです。

年上が不利になる古い考え

「長男の嫁は損」そんな話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
実際に日本では年功序列的な風習が根付いており、家は長男が継ぐ、両親の介護や援助は長男がするといった古い考えが定着してしまっています。
核家族化が進む現在では家を出て家庭を持つ長男も多いので、介護の際にこのような古い考えを持ち出されると長男に負担が偏り、介護の押し付け合いが始まってしまいます。

役割分担を決めても負担内容に格差が生まれる

どんなに役割分担を決めても、介護作業を平等に負担することは不可能です。
例えばお金に余裕がある人が「お金の担当」、時間に余裕がる人が「介護の担当」と、その時は上手く役割を分担できたとしても、終わりの見えない介護期間中に何があるかは誰にもわかりません。
そして確実に言えるのは、一番大変なのは「主介護者」ということです。
包み隠さず言ってしまえば、役割分担を決める時に「介護の担当」は最初からハズレなのです。
役割分担を決めるということは、介護の犠牲になる誰か一人を決めるということになります。

扶養義務が発生する親族図

直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養義務があると記された民法第877条には他にも、特別な事情がある時は、家庭裁判所の審判により三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができるといった内容が記されています。

普段はあまり耳にしない「直系血族」や「三親等内の親族」。
介護の押し付け合いに発展した場合は、自分がどのポジションにいるのかを確認しなければいけません。
トラブルの渦に巻き込まれる前に、自分が親族図のどこに立っているのかを事前に把握しておきましょう。
「本人」を自分に置き換えてみると、自分が誰に対して扶養義務があるのかが一目瞭然でわかります。

介護義務が発生する親族

親の在宅介護を押し付けられてしまうのは誰?

実際に親の在宅介護が必要になった場合、扶養義務のある親族が複数いれば、必ず誰かにメインの介護作業が押し付けられてしまいます。
民法上扶養義務のある親族に介護要請が来た場合、現実的に介護が可能なのか、介護要員から免れることはできるのか?をまとめてみました。

旦那の両親の面倒は誰が見る

旦那の両親の介護者候補

実の子である旦那が介護する

稼ぎ頭が旦那だけの場合、旦那に介護を任せるのは不可能になってきます。
主夫でない限り、旦那が介護者になる場合は少ないでしょう。

旦那の同胞(きょうだい)が介護する

旦那の姉妹の場合

独身の場合は、男尊女卑の名残で、結婚という逃げ場があると広く認識されてしまっているため、女性は結婚すれば簡単に離職でき、専業主婦で介護ができるという勝手な考えを押し付けられやすいです。
しかし、押し付けられてしまうと、介護が理由で結婚できなくなる可能性があります。

既婚している場合は、専業主婦であれば、介護者に選任される可能性がありますが、既に配偶者の身内の介護をしている場合は、介護を任せるのは難しいでしょう。
義姉もしくは義妹の配偶者の立ち位置によっては、介護者にされにくかったり、逆にされやすくなってしまう場合もあります。

旦那の兄弟の場合

独身でも、フルタイムで働いている場合は、介護を任せるのは難しく、逆に親の貯蓄や年金に頼って生活をしているパラサイト息子なら、介護者に選任されやすくなってしまいます。
また、独身の場合は、介護が理由で結婚できなくなる可能性があります。

既婚している場合、主夫でない限り、介護を任せるのは難しいでしょう。

旦那の同胞(きょうだい)の配偶者が介護する

旦那の姉妹の配偶者の場合

主夫でない限り、介護を任せるのは難しいでしょう。

旦那の兄弟の配偶者の場合

旦那を含む兄弟の立ち位置によって、介護者に選任されやすい人が決まってきます。
兄弟の中でもお金をより持っている方が、主導権を握りやすいです。
そのため、旦那が次男であっても、旦那の兄弟に金銭的な余裕があると、介護を押し付けられやすくなってしまいます。

嫁の両親の面倒は誰が見る

嫁の両親の介護者候補

実の子である嫁が介護する

嫁に同胞がいない場合は、配偶者がいたとしても実の子である嫁が介護者になりやすいです。

嫁の同胞(きょうだい)が介護する

嫁の姉妹の場合

姉妹が結婚して嫁に行っている場合は、旦那の親の介護を理由に介護者候補から外れられる場合が多いでしょう。
しかし、独身の場合は嫁に行っている姉妹よりも実親の介護者になりやすく、押し付けられてしまうと、介護が理由で結婚できなくなる可能性があります。

嫁の兄弟の場合

兄弟本人か、その配偶者が介護者にさせられやすいです。
婿に行ってしまっていたら、配偶者の親の手前、主介護者になるのは難しいでしょう。

嫁の同胞(きょうだい)の配偶者が介護する

嫁の姉妹の配偶者の場合

主夫でない限り、介護を任せるのは難しいでしょう。

嫁の兄弟の配偶者の場合

嫁と兄弟との立ち位置によっては、兄弟の配偶者が介護者にさせられやすいでしょう。
たとえば、

  1. 家督を継いだ兄が率先して自分の嫁に介護を押し付ける。
  2. 嫁より立場が低い弟が介護を押し付けられ、その配偶者が介護者にさせられる。

など、家督を継いでしまっている兄弟の場合は、古い考えや風習、家のしきたりなどが原因で介護を押し付けられやすく、さらにそのしわ寄せが配偶者である嫁に回ってくる可能性が高いです。

介護を放棄する(プロの介護士に任せる)

午後のワイドショーでは遺産相続や親族関係のトラブルをネタにした法律問題がお茶の間を沸かせ、夜の推理ドラマでは親族間のトラブルから生まれた殺人事件がテーマになるほど親の遺産や相続問題が大好きな日本人。
昼ドラのような骨肉の争いを生み出す親族間のトラブルは常に身近にあり、親の介護に関しても同じことが言えるのです。

実際に日本国内で起こっている殺人事件に関しては約50%が親族間の殺し合いで、介護においても一歩間違えればどうなるかわかりません。
遺産を放棄してでも直接的な介護を拒否する勇気がなければ、思わぬ形で被害を被ることも。

介護を放棄することや、親を捨てることは、未来を生きる若い世代にとって避けては通れぬ現実なのかもしれません。

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